医薬品製造現場の声から生まれた製品

生産現場の課題を解決したい

開発のきっかけは、グループ企業であるエーザイ株式会社（以下、エーザイ）の医薬品生産現場の「声」でした。

「POTMAC^®Ⅱ」は、PTPシート専用自動錠剤取り出し機です。
名前の由来は“POT”が「Push Out Tablets＝錠剤を取り出す」、“MAC”が「Machine＝機械」から来ています。

これまで、PTPシートから錠剤を取り出す際、従来品ではローラーなどで無理矢理押し出していましたが、生産現場の「通常の錠剤より柔らかい速崩錠を傷つけずに取り出したい！」という声を受け、私たちはその課題解決に向け開発を開始しました。

課題解決！でも、、、

私たちは、錠剤をやさしく取り出すことをコンセプトに、「POTMAC^®」を開発しました。従来品ではローラーで押し出していたものを、PTPシートに切れ目を入れることで、錠剤にかかる負荷を軽減することに成功しました。
その結果、速崩錠という柔らかい錠剤の取り出しを可能にしただけでなく、他の錠剤を取り出す際でも割れ欠けやシートに残ってしまう現象の発生を抑え、 99％以上の取り出し率を実現することができたのです。

ただ、共同開発したエーザイの課題は解決できたものの、その他の製薬企業への導入には至りませんでした。
なぜなら、開発コストが大きく、販売価格が高額になってしまったのです。
初号機として開発した「POTMAC ^®」は、本体価格だけでも従来品の2倍、オプション部品も含めると3倍近い価格になってしまいました。

より多くの貢献のために

錠剤取り出し率には絶対の自信がありましたし、それを認めていただけるお客様もいました。
しかし、どんなに良い製品でも、使っていただかなければ意味がありません。
私たちは、「POTMAC ^®Ⅰ」から、「POTMAC^®Ⅱ」への改良に取り掛かりました。

価格が高くなってしまう理由はわかっていました。私たちの一番のこだわりであり最大の特徴であった「シートに切れ目を入れる」ことを実現するためには、切れ目を入れるためのカッター部分のパーツを特殊な形状にする必要があったことと、カッターの刃に精度の高い研磨が必要だったためです。
ただ、価格低減のためにPOTMAC ^®の最大の特徴を改良することは、勇気が要ることでした。

わたしたちが改良に向けた検討をしていた時、とある出会いがありました。
POTMAC ^®の製造元の会社が他のプロジェクトへ参画するために、POTMAC^®の開発から手を引きたいと申し出がありました。
他の協力会社を探していたところに、現在の製造元である（株）サンメカニクスの社長を紹介されました。早速、図面をお見せして相談したところ、改良案を作成してくれました。

改良案では、シートに切れ目を入れるという最大の特徴はIと同様に、その機構を大きく改良しました。Iでは、カッターでシートに穴あけパンチのように刃を押し当てて、ひとつの錠剤ポケットに３箇所の切れ目を入れていたのに対して、Ⅱではシートを縦に一直線に切るような機構にしました。
これでカッター部分の構造が大幅に簡略化されました。

切れ目が１箇所に減らすことができたため、取り出し工程でも工夫がなされました。シートがローラーの間を通っていく間に、反り返らせる機構にしたことで、単純に押し出すよりも、さらに錠剤残りが発生しにくくなりました。

さらにもうひとつの工夫は、オプション部品を不要にする仕組みです。PTPシートは錠剤によって様々なサイズがあります。Iの時はこれにオプション部品で対応していましたが、Ⅱでは、簡単な調整でシートサイズに合わせる事ができるようになり、オプション部品をご購入いただく必要がなくなりました。

これらの改良により、品質はそのままに販売価格低減を実現することができました。生産現場の多くのお客様に喜んでいただける製品「POTMAC^®Ⅱ」が誕生しました。

現在では、錠剤だけでなくカプセルの取出しにも成功しており、応用範囲も広がっています。

さらなる貢献に向けて

現在、POTMAC^®Ⅱに対して多くの製薬工場様よりお問い合わせをいただいており、全国各地の製薬工場でデモンストレーションをさせていただいております。
お呼びいただければ、デモ機を持って我々が参上いたしますので、皆様からのお気軽なご相談をお待ちしています。

また、生産工程でのお困りごとがあれば、ぜひ私たちにご相談ください。
POTMAC ^®Ⅱをはじめとして、私たちの豊富な経験知を持って、お客様の課題解決をお手伝いいたします。

本コラムは、2020/12/23現在の情報です。